ワコール人間科学研究所にとって、人の情報は製品をつくる基盤となっています。
かたち、動き、ここちよさといったからだの情報をベースに、さらに「こうしたい、こうなりたい」といった人の想いを加えて、新製品開発を行っています。
たとえば、「スポーツをする時にケガを心配せず運動したい」というお客様の声をきっかけに生まれたのが、スポーツ時の筋肉疲労を軽減するコンディショニングウェア「CW-X」です。
一般的に、スポーツ時のケガ予防には、テーピングを使用するケースがあり、「テーピングと同じような機能を、スポーツウェアに内蔵できないか」というアイデアをもとに、試作品の開発を始めました。テーピング部分の素材には、女性用ガードルのおなかを押さえるために使うハイパワー素材を使用。また、ぴったりとフィットした着ごこちを実現させるために、下着の設計技術を応用するなど、長年蓄積してきたさまざまな研究成果を活かし、試行錯誤を重ねました。
その結果、スポーツ時の疲労が軽減されることを確認し、モニターの着用テストを経て、「CW-X」が生まれました。
スクワットで筋肉疲労を測定。一般モニターで実験する前に研究員がプレテストを行いました。
筋肉の反応を測定する筋電計を使用した「筋肉疲労実験」
試作品が出来上がると、着用効果のテストを行います。テストは、機能を正確に測定するために、製品ごとに計測・評価方法を設定。そして、測定値の分析結果をもとに試作品を改良していきます。
「CW-X」の場合は、運動時の筋肉疲労を測定するため、筋電計を使い、脚にセンサーをつけて、スクワットした時に起こる筋肉疲労を調べました。そこでポイントとなったのは、テーピングの巻きつけの強さ。強く巻きつけすぎると筋肉の動きを妨げてしまい、逆に弱すぎると筋肉を支えることができなくなってしまいます。繰り返しテストと改良を行った結果、筋肉の形と動きに沿って押さえ、筋肉のはたらきをサポートする理想的なかたちを見つけ出したのです。
また、機能の検証だけでなく、着用時の生理的な変化も測定。筋肉の変化をモニタリングし、筋肉の疲労度を客観的な数値に置き換えて、生理的にも疲労しにくいことを実証しました。
機能の発揮はもちろんのこと、人体の感覚や生理への深い理解。そして、その理解をもとに、「着用する人たちに、より美しく、より快適に、より健康になっていただけるような新製品を開発しよう」という思いが、高品質をささえる基盤となっています。
ワコール人間科学研究所が誇るのは、女性のからだを長年にわたって計測し、蓄積してきたデータと、それにご協力いただく女性モニターの皆さん。幅広い年代やサイズの常時1,000名もの方々が計測にご協力くださったおかげで、年齢別・サイズ別の設計用ダミーがつくられ、ジャストフィットする設計ができるようになりました。それだけでなく、さまざまな側面から着用テストを実施することによって、自信を持って商品を世に送り出すことができたのです。例えばブラジャー発売前には、すべてのサイズのモニターに試着していただきます。それもひとつのサイズにつき何十人もの方にご着用いただいて検証します。同じサイズでも、実際に着用される方のバストはかたちも、やわらかさもさまざま。1人でも多くのお客様にフィットする商品をつくるため、こうした地道な検証は欠かせないプロセスなのです。




